バイオ茶の宮崎上水園

創業明治二十九年 バイオ茶の宮崎上水園

STORY 宮崎上水園のお茶づくり 「急がず、休まず、怠らず」

Vol.28

これからへつづく、サステナブルなお茶づくり

1896(明治29)年創業、宮崎上水園は明治から令和へとつづいてきました。1986(昭和61)年には、バイオ茶が誕生。自然のバイオリズムに合わせた、農薬や化学肥料を使わないお茶づくりに取り組んできました。

それは、持続可能な自然環境・社会・経済をつくるという、現代の世界的な目標と重なります。2020年、米国・アカデミー賞授賞式後のオフィシャルパーティにて、バイオ茶が選ばれた理由もそこにありました。「自然のバイオリズムに合わせたお茶づくり」、さらに、「料理の味を邪魔せず、むしろ引き立てるお茶」であると、アカデミー賞公式シェフといわれる、料理長ウルフギャング・パック氏にお墨付きをいただき、採用されました。自然の力を生かし、美味しくて、体にいいお茶をつくりたい。その一心で取り組んできたことが、世界のトップに認められて、心から嬉しく、励まされる出来事でした。

  決してあきらめることはない。その先に訪れるものが必ずある。
  それは、今現在は何も見えない。しかし、明日は必ずやって来る。

明日とは字のごとく、明るい日。バイオ茶が誕生した当初は、なかなか受け入れてもらえず思い悩んだ時期もありましたが、いつもこの言葉が支えになりました。未知なる明日は無限の可能性を秘めています。「災い転じて福となす」ということわざがありますが、まさにその通りです。

三代目を継いでまもなく、一番茶の茶摘み直前に遅霜にあって全滅の被害を受けました。その前年、工場の機械を新しくし、茶園も少しずつ増やして、まさに心機一転というときでした。誰がこんなのことになると想像できたでしょう。けれど、霜害にあっていなければ、その後の、益満氏との運命的な出会いもありませんでした。このことがあったから、自然の恐ろしさと素晴らしさ、人の温かさを知ったともいえるのです。

「人生は良いこともあるし、考えもしないことも起こる。大事なことは常に平常心を持っていなければならない」。高校卒業の夜、父が話してくれたことも、人生の大きな支えになりました。

あきらめずにお茶づくりと向き合いつづける中で、想像をはるかに超える出会い、嬉しい結果に恵まれました。家族やスタッフに支えられて、やってこられたことです。農業勉強会「はじかき会」から想像を超える成果を出された方もいます。いいものをつくれば、必ず、気に入ってくださる方がある。そうして、作り手と使い手がしっかりと結びつき、自然環境にも社会にも経済にも、いい循環がつくっていけたら。微力ながら、その一端が担えるように、自然と共存しながら安心安全な食材づくりに貢献していきたい思いです。

長きにわたり、ご愛読くださって、ありがとうございました。
これまでの出会いに感謝して、これからも誠実にお茶づくりをつづけてまいります。
今後とも宮崎上水園をどうぞよろしくお願いいたします。


三代目・上水漸
三代目・上水漸、宮崎上水園の工場にて
一番茶の茶摘み
一番茶の茶摘みはGW頃におこなう
加工へ
刈り取った茶葉はすぐに加工へ