バイオ茶の宮崎上水園

創業明治二十九年 バイオ茶の宮崎上水園

STORY 宮崎上水園のお茶づくり 「急がず、休まず、怠らず」

Vol.24

バイオ茶を食べて育った、バイオ茶ポーク

上水園では以前、牛と鶏を飼育していました。二代目・上水肇が飼っていたのですが、バイオ茶を開発してしばらくしたころ、餌として与えてみました。バイオ茶はタンニンを分離しているので、酸化窒素が少ない。肉質にどんな影響を与えるか興味があったのです。

まず、鶏に与えてみたところ、トサカの部分が赤くならず、薄いピンク色になったのです。さらに数ヶ月与えてみると、肉質に変化がありました。食べると、鶏肉の甘みが増していたのです。興味がさらに高まりました。

上水園で事務員を務める塩屋福江さんから、趣味で鶏の平飼いをする知り合いを紹介してもらい、餌に混ぜてもらって数ヶ月、やはり「これはいい」と実感。豚を飼育する、山之内一博さんに相談しました。「豚の餌にバイオ茶を混ぜてもらえないか」と話すと、最初は渋られました。まだ確証はないのですから、当然です。そこで、子豚一頭にだけ与え、出荷時の相場で買い取ることを条件にお願いすることができました。

数ヶ月後、山之内さんが解体したお肉を持ってこられました。解体した方によれば、この豚は肉色がいい。何よりびっくりしたのは包丁に脂がつかないことで、さばくときすーっと刃が入り、とても楽だったそうです。自信につながる、結果でした。食べれば脂が甘いこと。しゃぶしゃぶをしてもアクが少なく、くせがないのでいくらでも食べられます。

それから3年ほど経ち、地元で養豚業を営む「石坂ファーム」社長・石坂勲さんに相談しました。石坂さんからは、「1つのブースに20頭前後の豚が入るので、それ相応のバイオ茶が必要になりますよ」と言われましたが、「そのつもりで届けます」と了解し、本格的にスタート。どれほどの割合で配合すればいいか。さまざまな分量で年月をかけて試し、肉質にも体重増にもいい適切な量を見極め、バイオ茶ポークの誕生となりました。

JA宮崎経済連を通して、横浜の分析センターで調べた結果、バイオ茶ポークは脂融点が高いことがわかりました。ハンバーグを作るとき、ミンチにしたバイオ茶ポークをこねていても脂が手にまとわりつくことなく、水洗いで十分にさらりとする。さっぱりとしておなかにもたれず、たくさん食べられる。そんな感想も、きっとそれゆえでしょう。

「石坂ファーム」は三股町に生産部門があり、育成地は隣接する都城市です。そして、三股町で長年食肉業を営む「肉のなかむら」と、都城市の「ミートクリエイト」がバイオ茶ポークを販売しています。いまでは、ふるさと納税でも人気商品。地元名産として根ざし、活性化につながれば嬉しいかぎりです。


バイオ茶ポーク
石坂勲社長(右から3人目)ら石坂ファームの皆さんと
バイオ茶ポーク
バイオ茶ポークはさっぱりと食べやすい。微粉末茶「颯々」を使って、しゃぶしゃぶで楽しむのが上水園の定番