バイオ茶の宮崎上水園

創業明治二十九年 バイオ茶の宮崎上水園

STORY 宮崎上水園のお茶づくり 「急がず、休まず、怠らず」

Vol.21

香ばしくまろやかな、焙煎黒バイオ茶

上水園と言えば、バイオ茶=水出し茶。ですが、ほかにもオリジナリティのある、上水園だけのお茶をつくっています。ありがたいことに、それぞれにファンがいてくださって、いずれもロングセラーとなっています。

2007年誕生したのが、バイオ茶を焙煎したほうじ茶、「焙煎黒バイオ茶」です。宮崎陸上協会の公式飲料にバイオ茶が認定された2004年頃から開発に取り組み、納得いくものができるまでに3年かかりました。以前は、近辺の方々が自宅で摘まれた茶葉を家庭用に加工していて、当時、仕上げに使っていた回転式火入れ機を引っ張り出して試作をはじめました。

まずは、通常の160℃ほどで火入れしてみましたが、バイオ茶では思うような香りと味が出ない。そこで、焙煎温度を上げて、延々と調整を繰り返し。その結果、通常は茶葉が燃え尽きるような、限界ぎりぎりの高温でも、バイオ茶なら大丈夫であることがわかったのです。現在、300℃の超高温で焙煎しています。

これまでに一度だけ、大きな失敗をしました。焙煎後、茶葉が猛烈な高温となるため、素早く冷やさなければなりません。すぐさま冷やし台に広げなければならないのに、そのままにして、次の茶葉の火入れをはじめてしまい、突然、発火したのです。工場の板壁に燃えうつり、消防車が駆けつける事態となり、大変な迷惑をかけてしまいました。以前、消防団にいた経験から放水して消し止め、幸いにして天井の一部を焼くだけにとどまり、消防車両が到着したときには鎮火。「まず人命救助、そして延焼防止」という教えが役立ちました。お茶づくりは常に火と向き合わなければなりません。油断や不注意によって取り返しがつかないことになると、身をもって経験しました。

さて、そうして試行錯誤の末に完成したのが、「焙煎黒バイオ茶」。everydayシリーズでは、茶葉のブレンドなどを変えて、焙煎茶としています。

香ばしさとまろやかなうまみがあり、えぐみがなく、すっきりとキレがいい。お湯で淹れても、水出しでも楽しめ、食事ともよく合い、焼酎とも相性がいい。煮出す手間もなく、気軽に飲んでいたけるところはバイオ茶と通じます。ほうじ茶がお好きな方からも、ひと味違うと喜んでいただき、いまでは水出し茶と並ぶ看板商品です。


ほうじ茶ほうじ茶
バイオ茶を超高温で焙煎したほうじ茶、「焙煎黒バイオ茶」は上水園の人気商品